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茨城大学農学部飼料資源科学研究室公式ブログ。研究内容、教学支援、講義内容などを発信していきます。
by atsutoyoda
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タウリンミーティング参戦記

4月6日の夜行便でドバイに向かって、乗り継ぎでカサブランカに着いたのは現地時間で昼過ぎでした。ちょうど24時間くらいの行程です。そこからさらに鉄道を使ってマラケシュまで4時間。長旅でした。13日朝に帰国の途につくまでたっぷりとタウリン研究の話を聞けました。

ニューヨーク市立大(CUNY)のEl Idrissi先生が今回の大会委員長でした。彼はモロッコ人でCUNYのPIをしていますが、神経科学者でもあります。彼はしょっぱなの基調講演で、タウリンを長期投与したマウスの行動と海馬の分子挙動を発表してました。タウリン給与で海馬のGABAA受容体の発現レベルが低下し、そのかわりGlutamic Acid Decarboxylase(GAD)65と67の発現レベルが上がっているということでした。オープンフィールド試験でも活動量が亢進するということでした。不安も亢進するとか。私たちのラットの試験でも同様にタウリンの長期間投与でGADの発現とオープンフィールド試験の活動量を見ているのですが、いずれも変化しません。両グループの研究結果にずいぶん乖離があるものです。CUNYのグループは飲水にタウリンを0.05%混ぜてマウスに飲ませているのですが、我々は飼料に45mmol/kgで混ぜてそれを飽食させてます。私が自分たちのデータを発表したときにCUNYのポスドクが喰ってかかってきたのが印象的でした。彼らにしてみれば作業仮説を否定されるようなデータを私達が発表しているわけですから、無視するわけにはいかないでしょう。なんでこうもデータが食い違うのか興味があります。

今回、一番面白かったのは、タウリン研究の御大South Alabama大Schaffer先生の講演でした。タウリンとMELASに関する仕事を紹介してました。MELASは”Myopathy, Mitochondrial-Encephalopathy-Lactic Acidosis-Stroke; Mitochondrial Encephalomyopathy, Lactic Acidosis, and Strokelike Episodes”の略ですが、ミトコンドリア遺伝子のtRNALeu(UUR)の変異が原因です。アンチコドンの一文字目がタウリン修飾されないことで、ND5や6の発現が抑制され、電子伝達系Complex1の活性が低下し、ROSが増加するということだそうです。ちなみにミトコンドリアにはタウリントランスポーターが発現しているとされ、その内部はタウリンが70mMの濃度で存在するということでした。細胞内タウリンが枯渇すると細胞内ROSが増加して、MELASを引き起こすというモデルです。タウリンが局所的に枯渇するようなことがあれば、MELASだけではなくさまざまな疾患を引き起こすことも有り得そうです。ここはとても興味深いです。

タウリンの抗うつについての作用を言及している研究者もいましたが、いずれも核心部には迫れずという感じでした。タウリンとNMDA受容体、セロトニン受容体との関係を発表していたグループもありましたが、傍証のみでDefinitiveなデータはありません。実はある研究者の発表を聞いて、これだ!というヒントを得ました。このヒントについてはいずれここで書きたいと思います。マラケシュまで行ってまで参加してよかったと思いました。

カラブランカ~ドバイの飛行機が遅れて、ドバイ乗り継ぎは15分間でした。ドバイ~成田が空いていて3列シートを独占できたので救われました。13日の夕方に成田についたら気温が9度で風雨が強く、吐く息も凍ったのでした。ドバイの空港にくらべると成田空港は暗いです。ドバイが明るすぎるということでしょう。
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by atsutoyoda | 2012-04-18 19:01 | 研究
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