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茨城大学農学部飼料資源科学研究室公式ブログ。研究内容、教学支援、講義内容などを発信していきます。
by atsutoyoda
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「強い文教、強い科学技術に向けて」

財務省神田主計官の書かれた「強い文教、強い科学技術に向けて 客観的視座からの土俵設定」を読み終えました。初等教育や芸術、スポーツの章は飛ばしましたが(もっともこれはこれで興味ありますが)、高等教育、科学技術のあり方についてはじっくり読ませていただきました。「平成24年度文教・科学技術予算のポイント」の理解も深まりました。まず、400ページ近い本書の冒頭、濵田東大総長と国立大学についての対談なのですが、印象深い発言をリストしてみましょう。全て主計官の発言ですが、国立大学への問題提起になっています。

大学が社会が期待している人材を必ずしも供給しきれていない。

それぞれの国立大学が、研究、教育、産学連携、地域貢献、国際化などの主要な活動にどう力を配分するか、そのポートフォリオをしっかり作って、それに見合った質の活動をしているかということを国民に説明していくことが大切。

学部間の縦割りや意思決定の重さが問題視されることが少なくありません。また、学部と大学院の関係、教育と研究の関係、社会ニーズに対応した新分野の研究組織をどう考えるかという問題もあります。

(大学予算に関して)これは後世の世代への借金によるものであり、もう限界です。

どれも厳しいところをついてきますね。子や孫に借金して今の教育を成り立たせているという指摘はとくに重い言葉です。また、社会ニーズにあった新分野の研究組織の構築などはこれからの大学改革のトピックになるでしょうが、学会の縦割り構造の問題などもあり、一朝一夕にはいきそうにありません。しかし、これもスピーディーに対応しないと世界において行かれるという状況。

また学生についても厳しい指摘があります。

学部卒業生の就職率が落ちているのは労働市場の構造変化、足元の景気動向等も効いていますが、他方、本邦企業が外国人の採用を増やしていることもあり、我が国の学部卒業生の能力が日本企業から見て賃金に見合うだけに達していないという厳しい意見もあります。

アドミッション、カリキュラム、ディプロマと三段階のポリシーと目標が立てられていますが、残念ながら余り機能せず、結果として、卒業生の質が維持できていないという意見もあります。ディグリーのプレステージを上げるにも、諸外国のように何割かは落第するような厳しい進級、卒業基準にすべきではないかという意見もあります。

非常に厳しい指摘ですが、ベースにあるのは主計官のこういうお考えからです。これは「まえがき」で述べられています。

我々がなぜ財政再建に焦っているかが、偏に民族国家の存亡のステークにあること、そして、既に未曾有の財政赤字を抱えていることに加え、高齢化に伴い毎年1兆円の社会保障費の自然増を抱える中、このままでは、遠くない将来、我が国の財政が確実に破綻し、それまでの間、文教、科技を含めた国家活動がシュリンクしていく構造をご理解いただければ幸いである。

人材育成と科学技術力強化こそ、我が国が繁栄すると共に、人類共同体に貢献していく王道である。

「王道」と来ました。大学教職員や学生には一読を薦めます。

【参考】「強い文教、強い科学技術に向けて ―客観的視座からの土俵設定―」
財務省主計官(文部科学担当) 神田 眞人 著
発行 特定非営利活動法人 学校経理研究会
2012年6月刊行
http://www.keiriken.net/tsuyoi-bunkyo.html

「平成24年度文教・科学技術予算のポイント」(平成23年12月 神 田 主 計 官)
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan011.pdf
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by atsutoyoda | 2012-09-04 21:06 | 教育
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