Ami Express


茨城大学農学部飼料資源科学研究室公式ブログ。研究内容、教学支援、講義内容などを発信していきます。
by atsutoyoda

<   2011年 11月 ( 25 )   > この月の画像一覧


バイオエタノールプロジェクト

学内のバイオエタノールプロジェクトの研究進捗発表会に参加してきました。スイートソルゴーという作物の搾汁液をバクテリアや酵母で発酵させて、アルコールを生産するというプロジェクトです。マスコミでもときどき報道されるのでご存知の方もいるかと思います。私はもともとバクテリアのセルロース分解酵素の研究をしていたので、搾汁したあとの残渣、つまりリグノセルロースの利用を担当していました。飼料化、サイレージに関係することですね。以前は某省庁のプロジェクトで食品残渣から乳酸を生産するというプロジェクトに入っていたことがあります。やはり発酵後の残渣を飼料化するという計画でした。残渣の飼料化ができればかなりうまく資源循環するわけですが、なかなか難しいのが実情です。家畜の飼料はすでに最適化したものが使われていますので、そこにあえて栄養価の不安定な残渣飼料を加えると家畜の生産性に影響します。そういう飼料を使いたがる畜産農家はなかなか出てこないでしょう。意外と他の分野の人には理解されにくいです。家畜なら何でも食べるだろうと言われて面食らったことがあります。

飼料化の難しさがだんだん理解されてきたのか、うちのバイオエタノールプロジェクトでも残渣をパルプなどに加工しているらしいです。残渣にはリグノセルロースが多くて、いわゆる難分解性の物質の塊ですから、用途を探し出すのは難しいでしょう。飼料やパルプもいいですが、もう少し付加価値の高いものはできないのだろうかと考えると良いかもしれません。特にリグニンからはいろいろ機能性がある分子が取れそうで面白そうです。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-30 18:32 | 研究

橋下徹さん、無駄削減

大阪市長選挙は橋下徹さんの圧勝でした。大阪府知事も松井一郎さんという同じく大阪維新の会の幹事長が勝ちました。大阪都を実現して2重行政の無駄をなくすという政策が府民に支持されたのでしょうか。事業仕分けや政策仕分けなどの公開も影響していそうですが、無駄削減というのが選挙に勝つキーワードなのかもしれません。もちろん、無駄を許す余裕などどこにもないという認識が一般に広がっているからでしょう。初等中等教育などでも競争原理を働かせるようです。能力のない教師はリストラの対象だとか。
大学も一緒で、無駄を放置するといずれは納税者の厳しい審判が下ると思っておいた方がいいでしょう。すでにこの前の政策仕分けで大学運営が論点になっていました。小さいことですが、毎日、何気なくこなしている事務処理などにも、これは本当に必要な書類なのか、組織内で貪欲に検討すべきです。研究や教育により多くの時間がさけるような仕分けが必要でしょう。大学運営や教職員の働きだけではなく、学生にも貴重な税金を使って勉強しているという自覚が必要ですが、教員がもっと研究に時間を割いて、質の高い教育を提供できるようにするのが前提でしょう。質の高い研究や教育を提供できないような大学に血税を投入されたら、納税者がどう思うか常に意識しないといけません。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-29 19:06 | 大学

論文投稿

今日2本の論文を投稿しました。茨城大学に赴任したのは27歳の時でしたが、赴任当時から当面の目標としていたジャーナルに投稿しました。まるまる15年の歳月をかけてようやくスタートラインに立ったような気がします。茨城大に赴任した当時、正直、私のサイエンティストとしてのキャリアは終了すると思いました。私を採用する決意をした教授と土浦の某所で面談したのですが、その面談の終了後に送ってもらった荒川沖駅で暗澹たる気分でホームに立ったことを今でも思い出します。パーマネントの職を得た安心感よりも、サイエンティストとしての可能性が絶たれたという気分が強かったです。失礼な話だと思いますがこれは事実です。研究費も以前にいたラボとは3オーダーくらい違いました。研究のアクティビティーもそれまでいた環境と段違いでした。学生とは話が通じません。その後も5年くらいはそういう暗澹たる気分を引きずりました。時間があるとNatureやScienceなどを貪るように読んで自分をエンカレッジしていた時期です。赴任当時は独身だったので週末も寝る時間以外はほとんどラボで過ごしました。いつも一人でしたから苦しい時期でした。
やっていけるかなと思いだしたのは赴任して10年くらい経って、自分独自の研究テーマを推進し出してからです。かなり重要でかつ興味深い、納得のいくテーマを見つけたと思えたからでしょう。一緒に苦労してくれる学生も出てきました。これは宝です。
今回の投稿論文がどういう結末を迎えるか分かりませんが、まずはここまで来たことを素直に喜びたいと思います。地方国立大学でもここまでやれるということを見せてやりたいと思います。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-28 21:49 | 研究

妊娠期の栄養学

今日も3年生と卒論の研究テーマについて相談しました。学部生のときからやってみたかった妊娠期の栄養学を始めてみようと思います。これから学生や共同研究者と一緒に研究計画を作っていくわけですが、何かを始めるときというのはワクワクするものです。妊娠期の栄養をコントロールすることで子供に何が起こってくるかというのを観察してみようと思っていますが、今、流行のEpigeneticsなども関係するので相当な勉強量が必要です。

来週から非常勤で「日本人の栄養摂取基準」を講義するのでその予習をしていますが、これはずいぶん勉強になります。栄養士を養成する大学で教えるのですが、農学部でも全学生に教えると良さそうですし、もっと言えば、全国民必読の書なのかもしれません。妊婦の栄養学というのももっと大きく扱った方が良いと思いますが、その根拠となるデータをこれから出していきたいと思います。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-25 17:57 | 研究

Steve Jobs

ウォルター・アイザックソンの「Steve Jobs」を読み始めました。半分くらい読み進みましたが、以前読んだ、キャリー・マリスとクレイグ・ベンダーの人物伝を思い出しました。この3人に共通点があるように思えます。とてつもない業績を上げたという共通点はもちろんありますが、その変人ぶりにも相当似たところがあるようです。もちろん、この3人と直接付き合ったことはないので詳細は分かりませんが、3人の人物伝を精読して共通するキャラクターをリストすると面白そうです。真にイノベーティブなことを成し遂げるにの重要なキャラクターが抽出できるかもしれません。日本企業が新人採用のときに最も重視するのが「協調性」とか「やる気」であると、先日の政策仕分けの仕分け人が指摘していましたが、どうもジョブズ、マリス、ベンターに協調性というキャラクターを見出すのは困難です。この3人は天才で別格と考えることは可能ですが、日本の社会は天才を使いこなしているでしょうか?そもそも天才が初等中等高等教育をサバイブしてくるのかどうか。

立川談志さんが亡くなりました。残念ながら談志さんの落語は生で聞いたことがありませんでしたが、その天才ぶりは明らかでした。天才のそばで一緒に仕事するのは大変でしょうが、天才がいない、あるいは天才が育ちにくい社会というのは退屈ですし、将来の展望があるとは思えません。高等教育の仕分けで、グローバル人材の養成が必要などと何も変わり映えしない結論に達するよりも、まじめに天才をつくる政策などを講じたほうがよっぽど前向きだと思えます。今の閉塞した日本を変えられるのは天才しかいないのではないかと思えます。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-24 22:00 | 教育

圧倒的な努力

今日は昼過ぎから夕方までずっと学部生や修士課程の学生さんとディスカッションしていました。進路や就活への疑問などいろいろ話しました。私は今の学生の就職活動や企業の新人採用の在り方などを斜めに見ているのであまり有益なコメントができないのですが、学生がおかれているシビアな状況は徐々に理解できるようになってきました。ゆとり世代とか、企業が採用したいと思える学生が少ないなどとネガティブな表現がマスコミなどで報じられていますが、ずいぶん無責任な論調だと思えます。昨日も書きましたが、協調性とかやる気を重視して専門性を評価をしない企業の内定を取るにはそれなりの「技術」が必要なのだろうと思います。私だったらそういう企業からは内定をもらえないでしょうし、就職したくもありません。やはり専門性を評価してくれる企業の方が仕事するには良いと思えます。大学はあくまでも専門的な教育を学生に施すべきだと思いますが、それが企業に評価されないという状況を大学で教育や研究にタッチする者はどのように理解すべきでしょうか。企業に評価されるような専門的な教育研究をもっと取り入れるということはあるでしょう。そのなかで協調性とかやる気をアップする教育も重視すべきなのでしょう。キャリア教育は私たちの大学でも取り入れつつありますが、いずれにしろ経済界の意向が大学教育にどんどん影響してくることは間違いないです。挨拶の仕方や名刺交換の仕方で終始する大学も出てくるかもしれません。そういう大学が企業、社会から評価されるようになると一気に日本の本来の高等教育は凋落していくように思えます。今はその崖っぷちにいるように思えてなりません。そういうことに気が付いてきている学生もいるのだと思いますが、それがマイナスであるとは言い出しにくい状況にあるのでしょう。いずれにしろ採用を待つ学生は弱者です。

スティーブ・ジョブズが亡くなったときに、あるマスコミが日本の大学からはジョブズのような人材は出てこないだろうというニュアンスの記事を載せていました。例え、日本の大学でジョブズのような人材を生み出せたとしてもそれを活用できる下地が日本の企業にあるのかどうか疑問ではあります。

私が就職活動に苦戦している学生に言ってあげられるのは、今、取り組んでいる専門分野で圧倒的な努力をして、世界にその見識を活かす場所を探してほしいということです。日本にこだわることはありません。私のような教員ができることはその後押しをすることぐらいです。私も正式なビジネスマナーなどは未だによく分かりませんから、専門性に特化した教育で勝負するしかないですね。そういう教育が評価されないということであれば、評価される場所に移るだけです。とてもシンプルなことです。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-22 22:09 | 教育

提言型政策仕分け

今日は大学改革の方向性と研究開発の在り方について提言型政策仕分けがありました。ときどき中継をチェックしていましたが、いつもの仕分けのようにかみ合わない議論に思えました。会議の最後の方に、仕分け人の辻元議員が科学技術予算に関して、「今は昔と時代が違うので予算の使い方の考え方を変えないといけない」というニュアンスのことを言っていたと思います。これは正しいと思えます。特に政策型の研究プロジェクトについては、本当にリーズナブルな裁定がされているのか疑問に思えることもあります。国民の意向とは関係ない重点テーマが専門家村社会で決められているように思える節もあります。もちろん、国民の意向を抽出するのが難しいことは、昨日の「白熱教室」という教育TVの番組でもやっていましたが、それにしても政策に近い専門家の意向が研究テーマの選定に反映されすぎているのではないかと思えることもありますね。これは是正していくべきでしょう。

大学教育については、ある仕分け人が、日本の企業は協調性とやる気を一番重んじるのでそこを鍛えろというニュアンスのことを言っていました。企業は大学教育に専門性などは期待していないというのですね。私は逆に、今の日本の企業が専門性を重視せずに、協調性とやる気のような部分だけを評価するので、うだつが上がらない状況に陥っているのでないかと思えます。日本の企業はその人物の真の能力を評価することができない(あるいはしない)ということでしょう。協調性ややる気はもちろん大事ですが、本当に大事なのは、新しい価値をうむようなProductを出すことでしょう。協調性ややる気だけでできますかね。大学教員ですら、協調性とやる気だけでは務まりません。

「提言型政策仕分け詳細と結果速報」
http://sasshin.go.jp/shiwake/detail/2011-11-21.html#A3
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-21 17:59 | 大学

推薦入試

学部の推薦入試でした。無事終わりました。何か間違いがあると大変なので入試の運営にはものすごく気を使います。何かあったときには受験生の人生を変えてしまう可能性もありますし、マスコミも大騒ぎします。今日は何名かの受験生と構内ですれ違いましたが、大きい声であいさつされたりしました。もともと推薦入試にはそういう方が多いのか、あるいは高校でしっかり教育されているのか分かりません。大学入学後もそういう態度は是非続けてほしいと思います。入学後はどうもそういう挨拶のしっかりできる人が目立たなくなりますね。就活直前で繕うよりも、普段から心がけていたほうがいいでしょう。人事部には付け焼刃がすぐにばれるでしょう。4年間心がけた人と数週間のトレーニングで繕った人ではにじみ出てくる人格の差が一目瞭然だと思います。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-19 17:17 | 大学

内壁工事対策、推薦入試準備

ラボやオフィスの内壁修復工事が来週から始まるので、今日はそのための作業場確保のために実験机やデスクを移動させました。10年以上お世話になった冷凍庫や嫌気培養用の大型ガラスボトルなど廃棄しました。震災で床に落下したPCR2台も廃棄することになるでしょう。備品シールをとうとう剥がしました。工事では相当な粉じんが舞うでしょうから、ラボやオフィスで仕事するのは難しそうです。夏場も酷暑を避けるために移動オフィスでしたが、またまた移動オフィスになりそうです。ノートPCをメインマシンにしたのは正解でした。工事が完了してはじめてラボつくりがスタートするという感じです。幸い愉快なメンバーが3名加わったので、創造的な空間を作るべく努力しましょう。ただ大きい余震の心配がまだあります。ラボ復旧後に最大余震が来ないとも限らないので、安全性に最大限こだわったラボつくりをする必要があります。これは忘れてはいけません。ラボに入りきらない備品や消耗品をどうするか、これが一番の課題ですね。教員あたりの割り当て面積がずいぶん小さいような気がするのですが、もともと教員が3名いたラボを私1名が使っているのでおとなしくしておいた方が良いのかもしれません。

明日は推薦入試があります。試験会場の準備などをしましたが、天気が気がかりです。推薦入試が始まるといよいよ本格的な入試シーズン到来です。受験生が集まるかどうかというのがいつも気になるのですが、今シーズンは例年よりも気がかりです。
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-18 18:22 | 震災、原発

ゲルが固まらない、部活リケジョ

学生実験が昨日で終了しました。SDS-PAGEには手こづったようで、きれいな泳動結果にはなりませんでした。ゲルの重合がうまくいっていない班が多かったのか、シャープなタンパク質のバンドが出ていませんでした。どういうわけだか、BISを低濃度にしたようないわゆる低BISゲルのようなネチョネチョのゲルもありましたが、不思議なことが起こるものです。毎年、SDS-PAGEをやっていますが、年々、厳しい状況になっているようです。かなり発奮しないとあと1年ちょっとでは、卒論研究をこなせるレベルに到達できないでしょう。初等・中等教育での理科の実験授業がかなり減っているのでしょうか。しばらく前から、小中高でまともに実験をやったことがない学生はいましたが、そうだとするとかなり気の毒なことです。学部の実験実習で今までの分を取り返していただきたいです。

そんな状況の中で良いニュースもありました。水戸第二高校の生徒さんが新しい化学現象を発見したそうです。専門誌に掲載されるとかでめでたいことです。下記の引用記事にある、「メンバーは器具を片付けないままカラオケへ。」というのがポイントですね。しかし、良く見逃さずに発見につなげたと思います。今回の発見で、実験の面白さにはまったことでしょう。この生徒さんたちの中から面白い科学者が出てくることを期待しています。水戸第二高校出身の学生さんは何人か指導したことがありますが、うちの大学を選んでくれるとうれしいですね。

【引用】
「部活リケジョ、「化学」大発見、米誌に掲載へ」
読売新聞 11月17日(木)14時32分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111117-00000731-yom-sci
[PR]

by atsutoyoda | 2011-11-17 17:27 | 教育