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茨城大学農学部飼料資源科学研究室公式ブログ。研究内容、教学支援、講義内容などを発信していきます。
by atsutoyoda

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論文チェック

卒論や修論のチェックの季節になりました。今年は修論を6つもチェックしないといけないので、今から戦々恐々としています。ブログの管理人は、数年前、修論を大量にチェックしているときに体調不良から肺炎で寝込んだことがあります。論文を修正されたことが気に食わないのか逃避する学生がでたこともあります。割とタフな仕事なのです。最近は「てにをは」を直すというよりも、どういう根拠でその考察が成り立つのかを問いただすケースが多いです。実験結果に対してまともな考察ができていないのですね。論文ではなくて個人の感想文になっているものが多いです。論理的思考能力や論理的な作文技術についてはどこの分野に進んでも必要だと思いますから、学部の初期に徹底的に教育したほうが良いのかもしれません。実習などでレポートを課してもなかなか突っ込んだ指導ができませんから、座学として教えるのが良いのでしょう。サラリーマン向けの啓蒙書がたくさん出ていますから、かなりニーズが高い教育と思われます。学部改革するのであれば検討してほしいですね。

論文中身は、その執筆者の学生が普段から関連文献をよく読んで、よく考えているかが如実に出ます。日頃の研究態度がもろに反映されるのが論文ですね。なんでもそうですが積み重ねが大事です。論文は何も準備せずに一夜漬けで書けるようなものではありません。生みの苦しみを味わってください。飛躍するチャンスです。
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by atsutoyoda | 2012-01-31 18:56 | 教育

入試志願状況

一般入試の願書の受付が始まりました。今年は震災や原発事故の影響で出願数が減少するのではないかと不安だったのですが、農学部の現在の志願状況を見る限り、杞憂だったようです。特にブログ管理人の所属する生物生産科学科の一般入試は昨年度、高倍率だったので、今年度、倍率が上がるファクターがみつからないのですが、前期日程で筆記試験を復活させたことが逆に受験生を集める原因になったのかもしれません。この10年、小論文や面接など入試方法が二転三転しました。管理人が受験生だった頃は、小論文や面接での選抜方法をとる大学の受験は避けたものです。そのために新たに対策を取るほどメリットを感じなかったですね。5教科の対策に手いっぱいという感じでした。

「歩留り」がどうなるか分かりませんし、どういうモチベーションの学生が入ってくるか分かりませんが、学科のメンバーとしては、少しホッとしています。いずれにしろ、2月25日の前期日程までひと月もありませんから、受験生のみなさんは風邪などひかぬよう体調管理には万全を期していただきたいと思います。


「茨城大学一般入試(前期日程、後期日程)の志願状況」
http://www.ibaraki.ac.jp/common/pdf/guidance/24ippanshigan0130.pdf
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by atsutoyoda | 2012-01-30 21:52 | 大学

摂食量の測定

ある実験でマウスの摂食量の測定をしています。今回の実験ではなぜかほとんどのマウスが給餌器に尿をするようです。正確に摂食量を測定できないので、実験している学生さんにとってみれば大問題なのですが、なぜそのようなことになるのか実に興味深いです。もともとマウスは飼料をこぼすので、こぼしても摂食量の測定に影響が出ないようプラスチック製の「囲い」を給餌器に設置しているのですが、その「囲い」にわざわざ入って、しかも給餌器で尿をする行動が理解できません。マウスのこういう行動は一定の確率で見られるようなのですが、今回はかなりその頻度が高いようです。震災以降、マウスの繁殖率が落ちたと言う同僚の先生もいるのですが、マウスたちが飼育環境の変化を敏感に察知しているのかもしれません。阪神淡路大震災のときも事前にマウスの異常行動があったようです。こういう実験動物の行動変化には敏感でありたいものです。キャンパスの空間放射線量は依然として平常時よりは高いわけで、それは飼育舎内も例外ではないのですが、実験動物から得られた生化学や分子生物学的実験の結果もそれなりに気を付けてみなければいけないのかもしれません。DNA損傷やエピジェネティクスなどはブログの管理人が全くタッチしたことがない分野なのですが、ある程度は把握しておかないと間違いを犯す可能性があります。

【参考】
"Mouse circadian rhythm before the Kobe earthquake in 1995."
Yokoi S, Ikeya M, Yagi T, Nagai K.
Bioelectromagnetics. 2003 May;24(4):289-91.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12696089
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by atsutoyoda | 2012-01-27 23:01 | 研究

つくば国際大学非常勤講義6回目、ビタミンD

午前中、水戸の本部で会議を一つこなしました。放射線量計を車に載せて、つくばの自宅から水戸キャンパスまで高速を使っていきました。途中、0.2μSv/hくらいまで上昇する場所があったのですが、高速の周りが杉の森林でした。高速道といえども空間線量はずいぶん変化するものです。しばらく線量計を携行して、研究室のメンバーが行動するエリアを計測していきたいと思います。

午後はつくば国際大に非常勤にいきました。ビタミンDについて演習しましたが、テキストである「日本人の食事摂取基準」にびっくりするようなことが書かれていました。京大の研究成果ですが、新生児にビタミンD欠が高頻度に見られて、頭蓋癆が22%の新生児に見られるというのですね。私が学生のころにビタミンD欠乏を勉強したときにはなかった知見です。栄養学、特にヒトの栄養学はまだまだ分かっていないことが多いですし、むしろ家畜栄養学の方が進んでいる部分があります。ヒトと動物の栄養学の分野交流がもっと必要なのではないかと思えます。家畜栄養学とヒトの栄養学の接点になるような学会がないですね。私が所属している畜産学会はモロに家畜が対象ですし、栄養・食糧学会はヒトやラット、マウスが対象です。動物種が違えば栄養代謝機構も全く異なるので、広く全体を見渡せるような学会が欲しいですね。

【参考】
「日本人正常新生児にはビタミンD欠乏症が高頻度に見られ、母乳栄養児で特に改善が遅れる」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/2008/news6/080331_1.htm
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by atsutoyoda | 2012-01-26 22:01 | 教育

放射線モニタ

オフィスから外に出るときはなるべく放射線モニタを持ち歩くようになりました。研究室のメンバーが行動しそうな学内外をモニタリングしていますが、立木の周辺などはやはり高めにでます。阿見町からの除染計画の指示がまだ来ないらしいのですが、早く対応してほしいものです。阿見町のホームページでは、「『放射性物質汚染対処特措法』の基準(地上1mにおいて毎時0.23マイクロシーベルト)に基づいて随時除染を行い、児童等が受ける放射線量をできるだけ低く抑えるとともに、町民および保護者の皆さまの不安解消に努めてまいります。」と書かれています。この数値をクリアするには阿見町の広大なエリアの除染が必要です。大学独自では除染活動できないのでしょうが、待たされるのもフラストレーションたまりますね。これから入試シーズンなので、うちのキャンパスは除染して線量が落ちましたと早く宣言したいものです。今、在籍している学生のこともありますから、あんまりノンビリ対応されても困るのですが、町役場もいっぱいいっぱいでキャパを超えているのかもしれません。そうであれば、町の指示が無くても除染活動できるような仕組みを作るなどしたほうが良さそうです。霞が関の指示が直接大学に来ても良さそうなものですが、そういうものでもないのでしょうか。不思議な気分です。

【参考】
「阿見町放射線関連情報」
http://www.town.ami.ibaraki.jp/kakuka/seikatsusangyo-bu/chominkatsudosuishinka/bosai/hoshasen_information01.htm#放射線量マップ作成について
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by atsutoyoda | 2012-01-25 17:07 | 震災、原発

放射線量の測定

研究室で購入した堀場製作所のPA-1000という環境放射線モニタで、主に研究室が管理する動物飼育室などを測定しました。PA-1000でつくばの自宅周辺も測定しましたが、阿見の方がやはり高めの数値が出ます。ただ、研究棟の実験室やオフィスなどの数値はつくばの自宅の数値と変わりません。気になるのはプレハブの建物ですね。屋根に放射性物質が積もっているのか、プレハブ室内の床よりも天井のほうが高い値になります。精度の高い実験をしているのでこれは無視できません。どのような解決をするべきなのか考えますが、屋根の除染などという対処療法よりも、もともと空間放射線量が高いので、ある程度遮蔽効果のある動物実験棟の設置くらいを考えないといけないのかもしれません。この大学にはもともと動物実験施設がないので、今回の原発事故をきっかけに動物福祉にも配慮したまともな動物飼育施設の建設計画をだしていただきたいものです。教育、研究で必要なので不合理な要求ではないとおもうのです。今まで施設がなかったことが不思議です。汚染してしまったこの環境を最大限に活かす研究も考えないといけません。今後、低線量被曝というまだ健康被害がはっきりしない分野が焦点になるでしょうが、今日の測定ではいろいろと学ぶことができました。
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by atsutoyoda | 2012-01-24 17:07 | 震災、原発

論文投稿、TK君訪問、私費外国人留学生入試志願状況

たらいまわしにされつつある論文をある雑誌に投稿しました。捲土重来。Elsevierの投稿システムには慣れました。慣れるようなシステムにするというのも出版社の戦略としては重要ですね。「顧客確保」のために。この一年でElsevierの雑誌に何度投稿したか分かりません。
投稿作業しているときに研究室OBのKT君がラボにやってきました。彼は福島県に勤めているのですが、元気にやっているようなので安心しました。現場はなかなかの修羅場だとは思うのですが、福島県の畜産を支える人材になってほしいと思います。ある意味、すごくやりがいがあるでしょうが、何が本当に大事なのかを福島県という狭いエリアのことだけはなく、日本全体を見回して考えないといけないところはあるでしょう。福島県の農業の信頼を回復するには並大抵の努力では無理であると思います。福島県職員には畜産職を中心に研究室OB、OGが何名かいるのですが、どのようなビジョンを持って解決しようとしているのか聞いてみたいと思います。日本の農業の抱えた最大の課題と言っても良いのかもしれません。

私費外国人入試の願書を締め切りました。志願者は大幅に減ったようです。農学部が昨年に比べると半減ですね。大学全体でも半分近くに減っています。これから一般入試の募集も始まりますが、どうなることやらという感じです。

「平成24年度茨城大学私費外国人留学生入試志願状況」
http://www.ibaraki.ac.jp/common/pdf/guidance/24shihishigan.pdf
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by atsutoyoda | 2012-01-23 18:26 | 大学

鳥のレプチン

OT先生のラボのAH君のドクター審査会でしたが、審査員として参加しました。ニワトリのレプチンを見つけることが目的の研究で、レプチン探索用の細胞アッセイ系を構築したというのが学位論文の骨子です。興味深いことに、鳥のレプチンはまだその存在の有無さえはっきりしていないのですね。レプチン遺伝子のcDNAがクローニングされたという論文は過去に複数のラボから出ているのですが、それを否定する論文がでたりしています。またニワトリゲノムプロジェクトでもレプチン遺伝子の存在が確認できないなど、不透明な状態だそうです。ただし、レプチンレセプターは存在が確認されていて、マウスのレプチンはニワトリレプチンレセプターを介して機能するようです。ニワトリの日齢や系統によってレプチンへの反応にばらつきはありますが、哺乳類同様に摂食行動にも関係するらしいです。詳細は書きませんが、マウスとニワトリの細胞内シグナル伝達系はずいぶん違いそうですね。ヒトやマウスのシグナル伝達系を想定して研究を進めると、時には間違った方向に進むかもしれません。種差には充分注意すべきであると忠告をしてくれるような研究結果でした。ニワトリレプチンがあるとしたら、実は想定外の機能があるのかもしれません。それはそれで面白いですよね。細胞アッセイを用いたニワトリレプチンの単離はかなり大変な力作業になるでしょうが、期待して見ていましょう。

マウス、ラット、ハエなどモデル動物の研究だけではなく、さまざまな種をディープに研究する必要性があると思っていましたが、今日の審査会ではそういう思いをより強くしました。そういえば、年末の分子生物学会で聞いたハダカデバネズミというのもたいそう面白そうな動物です。動物研究の裾野を広げるのも私たちの分野の仕事かなと思えます。
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by atsutoyoda | 2012-01-20 22:07 | 研究

つくば国際大学非常勤講義5回目

午後いちばんでつくば国際大に非常勤の演習に行きました。5回目の栄養学演習です。学生には先週調べさせた脂肪と炭水化物の栄養摂取基準について発表させました。いつもは学生からの質問がほとんど出ないのですが、今日はあるひとりの学生が積極的に質問してくれました。ファシリテーターの役目を担ってもらい、なかなかいい感じで演習が活性化しました。その質問も鋭いですね。学部の2年生ですがプロ意識も芽生えてくるのでしょうか。もっともこれは学生さんによってずいぶん差がありそうです。(どこの大学でも一緒でしょうけど)

私は保健栄養学科という管理栄養士をめざす学科で教えているのですが、一学年の定員は80人です。実際に私が教えているのは30名ほどなので、かなり定員割れを起こしていることになります。本来だったら40名が2クラスないといけないそうですが、ようやく1クラス作れるということだそうです。厳しい現実です。

これからますます少子化が進みます。私の4歳の息子の人口は109万人だったと思うのですが、今の18歳よりも10万人以上減ります。あと15年で10万人減るというのが現実です。大学への進学率が大幅に増加しなければ、今より5万人くらいは大学進学者が減るということになります。大雑把な計算ですが。東大の一学年の定員を3000人とすると17個分ですか。凄い数字ですが、何も対策を打たなければそうなるのでしょう。景気の低迷も追い打ちをかけるかもしれません。

ではどうするか?日本人の高校生だけを受け入れるというのではなく、広く海外から学生を募集すればいいわけです。東大の秋入学移行の話題がありますが、一方、秋入学だけで世界の優秀な学生が集まってくれるだろうかという気もします。日本だからということで若い人が来てくれる時代ではないでしょう。都市部の有名大学はともかく、地方大学に如何に優秀な学生を呼び込むか。学生募集の戦略はもっとシビアに練るべきで、ここに各大学の差が大きく出そうです。うちの学部も国際交流は規模の割に盛んだと思いますが、その意味するところを教職員で共有したほうが良いですね。もう少しフットワーク軽く、海外に出られればいいのですが、海外出張できるタイミングを探すのもなかなか大変です。

【参考】
「18歳人口及び高等教育機関への入学者数・進学率等の推移」(文科省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/005/001.pdf
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by atsutoyoda | 2012-01-19 20:55 | 教育

教員人事

どこでもそうでしょうけど、教員人事についてはかなりもめます。この時期になってくると次はどこの講座で教員人事を開始するかがよく問題になります。私の在籍する講座では2年連続で教授が退職しているのですが不補充です。定員削減分がありますから、ひとつのポジションは戻ってこないのですが、もう一つは返ってくるはずです。しかし、そのポストがどのように返ってくるのかが分かりません。ともかく、ポストの貸借関係や学長預かりのポストの運用も含めて全体像が全く分かりません。これは長い歴史の人事の複雑なやりくりが影響しているのですぐには解消できないとは思えますが、学部改革を阻害する要因にもなっているように思えます。ガラガラポンして、教育への貢献度、論文数、IF、論文引用数、地域貢献度などたくさんの尺度で再審査して教授職、准教授職、助教職などに再配置するしかないかもしれません。ものすごくいい研究や教育をしているのにポストが空かずに昇格できない教員もいます。ほとんど研究や教育をしていないのに昇格する教員もいます。はっきりしていることは、教育も研究も不充分な教員を年功序列で昇格させるようなことはもうやめたほうが良いということでしょう。そういう教員は高等教育で機能しないことがはっきりしていますから。今まで通りの情実人事ををやっているようでは国民から見放されると思っていいでしょう。

優秀なポスドクが職がなくてどんどんサイエンスの分野から去っていくわけですが、そういう「知的財産」の流出を防ぐのも大学の大きな役割ではないでしょうか。「頭脳還流」よりも重要です。これは大学改革以前の基本的な問題です。人材がそろってはじめて改革はなりたちます。というわけで、後ろ指刺されないように頑張らねばなりません。
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by atsutoyoda | 2012-01-18 18:51 | 大学