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茨城大学農学部飼料資源科学研究室公式ブログ。研究内容、教学支援、講義内容などを発信していきます。
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雇い止め

しばらく前から話題になっている雇い止めの議論をTwitterその他でフォローしてみました。いろいろな角度からの議論がありますが、いちばんしっくりきたのは下記の榎木英介さんとVikingさんのものでした。今回の労働契約法改正が雇い止めを誘発するのは間違いないと思えますが、だからといって雇用する側が有期雇用のままで雇い続けられるという大義名分があっても問題でしょう。普通に研究してコンスタントに成果を上げている研究者がいつまでも有期雇用だったりで人生設計もままならないというのが異常なのであって、そこを解決しない限り、何も生み出さないように思えます。研究者は霞でも食って生きてくださいということでしょうか。霞でも食っておいてもらったほうが良さそうな無期雇用者はゴマンといるでしょう。

今度は外国人教授を増やそうという動きがあるようです。外国人教授を雇った大学には補助金をちらつかせるとか。今の日本の大学にどんなレベルの外国人教授が来てくれるか楽しみでもあります。もちろん有期雇用で採用するのでしょうから。

【参考】
「労働契約法改正は何をもたらすか~研究者の反応から」(大臣・総合科学技術会議有識者議員会合資料・榎木英介さん)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419/siryocho-5.pdf

「国公私立大の外国人教授を倍増 20年メドに4000人 国家戦略会議が提言へ」
(2012/4/28 15:59日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E6E2E2E68DE0EAE2E6E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
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by atsutoyoda | 2012-04-28 22:58 | 科学技術政策

論文アクセプトと内定祝い、公務員試験

昨日は午後は農研機構で実験を習い、夕方からラボで論文アクセプトと就職内定祝いをしました。ゲストでKM先生、OT先生、KD先生もお招きして盛大にやりました。中身の濃い研究交流もできました。いずれにしろこういう機会は今後も定期的に持ちたいものです。まったく予期していなかった共同研究がうまれたりします。

この日曜日が国家公務員I種試験だそうです。II種や地方公務員試験などもそのあとに続くようですが、まだ採用人数が発表にならないのですね。畜産職などは各県採っても数名、ゼロのこともあるでしょうから、厳しい戦いになるわけです。受験生のことを考え、もう少し早く採用人数を発表してほしいものです。研究そっちのけで公務員受験対策に没頭して、直前で採用なしではなんのために時間を使ってきたかわかりません。その分を研究に回したほうがよっぽど有意義です。なるべく早く就活生が意思決定できる工夫をすくなくとも国や都道府県はすべきです。もちろん民間企業もです。いかに学生たちの学習や研究時間を確保するか、国全体でもっと問題意識をあげないといけませんね。勉強しない大学生とか批判する向きもありますが、専門の勉強に没頭したくてもできない「環境」を改善しないといけないと思えます。専門の勉強に没頭して博士をとったが、社会で活躍の場がないのでは、専門の勉強を一生懸命する気になりますかね。勉強させない大学のセンセを悪者にして、予算も付けずに工夫しろと言う方は楽でしょうが、現実はそんなに甘くはないのです。最近、大学論を盛んに記事にするマスコミも意外とわかっていませんね。
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by atsutoyoda | 2012-04-27 20:06 | 大学

3年生の訪問

学部3年生の研究室訪問が始まっているようです。家畜管理や行動関係の研究室は人気があるみたいですね。これは例年の傾向なのですが。うちみたいに生化学からマウス行動学まで手広くやる研究室は爆発的な人気はないのですが一部の学生には支持されるみたいです。先日、うちの研究室にも何名かやってきました。私がひと通り、研究テーマを説明して、そのあとはフリーディスカッションにしました。これまでに来られた学生さんたちは割りとおとなしい感じです。ただ良い質問を結構してきますのでうちに秘めたるものがあるのかもしれません。率直、いまの学生さんたちはどういう研究テーマに興味を示すのだろうかと思います。いずれにしろうちの研究室にフィットしそうな学生がいるといいのですが。今、在籍している学生がフィットしているかどうか分かりませんが、日頃つまらなそうな顔をしてないのでなんとかなっているのでしょう。

農業工学のOT先生との共同研究は面白くなりそうです。機械系の先生と一緒に仕事をするのははじめてなのですが、まあ、言ってみれば境界領域にこそ花が咲くという感じでしょうか。混沌とした農学部ならではの共同作業です。ひとりで盛り上がっています。巻き込まれた学生は教員二人から注文をつけられて大変かもしれません。役得でしょう。
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by atsutoyoda | 2012-04-25 23:01 | 教育

グローバル教育

日本の閉塞を打破するのにはグローバル教育が必要だという趣旨の記事によく出会います。今朝の日経新聞にもその手の記事がありました。大学はグローバル教育で学生を鍛えるべしとのことなのですが、現場にいると違和感を感じます。いまの学生にはグローバル教育以前にやらなければいけないことが多いからです。そもそもグローバル教育とは具体的にどのような教育を指すのか不明です。海外に出てもサバイブしていける能力を養成するための教育でしょうか。海外でサバイブする能力を養成する前に、日本でサバイブする能力を養成するほうが先でしょう。グローバル教育の前に「読み、書き、そろばん」を徹底しないといけません。基礎がないところに、グローバル教育を施しても、意味のないことは自明です。英語はうまいけど中身が無い人と、英語は不得手だけれど中身がある人ではどちらがグローバル人材になりうるかということです。

1mol/LのNaCl溶液を使って、10mmol/LのNaCl溶液を250mL作りなさいという問題を学部2年生に出しましたが、ほとんどの学生ができないのですね。このレベルで研究室に配属されても試薬調整など困難ですが、これが現実です。このレベルでいかにグローバル教育といったところで、砂上の楼閣を作るようなものでしょう。

いまの大学はキャリア教育やグローバル教育に振り回されていますが、本当に必要な教育というのは目の前の学生を直視することで見えてくるように思えます。GPなどの競争的資金に踊らされず、もう少し現実的な対応が必要でしょう。競争的資金を苦労して獲得せずともやれることはいくらでもありそうです。
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by atsutoyoda | 2012-04-24 22:13 | 教育

若手はリスクを取らないのか?

この毎日の記事の「若手はリスクを取らない・・・」というのは榎木英介さんの発言ではなかったはずですが、今の雇用状況でリスクをとって日本の科学技術のために尽くしてくれというのは無茶な話だと思えます。「優秀な人が先端研究から逃げてしまう」リスクに気が回るほど、日本に余裕がないということも言えそうですが、このまま社会保障費だけが膨れ上がって緩慢な死を迎えてしまうのかどうか。大学がもっと将来ビジョンを提示しても良さそうなものですが、あまり明確な態度を示してくる大学もないですね。話題になるのは秋入学だけですか。

ここ5年ほどですが、現場で学生を教えていても、優秀な学生に博士課程進学を勧めることができなくなりました。人生を狂わせてしまう可能性があるからですね。博士の学位を出すことができる高等教育の放棄とも言えます。いずれにしろ大学のアクションは必要です。

【参考】
「若手研究者:先端研究にクビの不安 有期雇用が一般的」
毎日新聞 2012年04月22日 13時01分(最終更新 04月22日 20時10分)
http://mainichi.jp/select/news/20120422k0000e040113000c.html
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by atsutoyoda | 2012-04-23 22:46 | 科学技術政策

飼料資源科学特論

昨年につづき、ブログ管理人が担当する大学院講義「飼料資源科学特論」は原発事故が農林水産業に与えた影響に焦点を当てて、勉強していくことにしました。今年は6名のメンバーです。3つのグループに分けて、それぞれ興味を持ったテーマについて調べてもらいます。原発事故から1年以上たちましたが依然、農業分野には深刻な影響を与えています。大学院生は農業分野でプロとして生きていく人も多いでしょうから、原発事故の農業被害についてある程度の知識を持つ必要があるでしょう。興味も持ってもらわないといけません。

そういえば先週、参加したモロッコの学会で会ったアメリカ人は、福島原発のことを「ダイイチ」と言っていました。

外書講読講義も始まりました。今年度も中国語をやります。授業が始まり出しました。3月まで突っ走りましょう。
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by atsutoyoda | 2012-04-20 21:03 | 教育

大学改革

ある用事で文科省に行きました。茨城大学の「とりくみ」について官僚の方と議論しました。日頃、ブログ管理人が感じている大学や学部に対しての問題点を指摘して、それをどう解決していくか私案を述べたわけです。文科省官僚の方向性や考えは個人的にかなりフィットします。問題意識は共有していると思えました。なので詳細は書けませんが、たいそう有意義な時間でした。はっきりしているのは今のままの体制を温存するのであればいずれ大学運営が成り立たなくなるということでしょう。そういう緊迫感はありました。大胆な改革が求められていると思うべきです。

管理人はまだまだ研究の現場で成果を上げていかなければいけない身分ですが、時代にマッチしたよりよい研究環境(もちろん教育環境も)の構築をめざしていくということであれば、万難を排して大学運営に協力したいと思っています。例の138億円が第2期国立大学法人の最後のチャンスかもしれません。そういう緊張感を持つべきです。

最近の豊田長康先生のブログは大変参考になります。

【参考】
「ある地方大学元学長のつぼやき」
http://blog.goo.ne.jp/toyodang

「平成24年度文教・科学技術予算のポイント」
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan011.pdf
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by atsutoyoda | 2012-04-19 22:56 | 大学

タウリンミーティング参戦記

4月6日の夜行便でドバイに向かって、乗り継ぎでカサブランカに着いたのは現地時間で昼過ぎでした。ちょうど24時間くらいの行程です。そこからさらに鉄道を使ってマラケシュまで4時間。長旅でした。13日朝に帰国の途につくまでたっぷりとタウリン研究の話を聞けました。

ニューヨーク市立大(CUNY)のEl Idrissi先生が今回の大会委員長でした。彼はモロッコ人でCUNYのPIをしていますが、神経科学者でもあります。彼はしょっぱなの基調講演で、タウリンを長期投与したマウスの行動と海馬の分子挙動を発表してました。タウリン給与で海馬のGABAA受容体の発現レベルが低下し、そのかわりGlutamic Acid Decarboxylase(GAD)65と67の発現レベルが上がっているということでした。オープンフィールド試験でも活動量が亢進するということでした。不安も亢進するとか。私たちのラットの試験でも同様にタウリンの長期間投与でGADの発現とオープンフィールド試験の活動量を見ているのですが、いずれも変化しません。両グループの研究結果にずいぶん乖離があるものです。CUNYのグループは飲水にタウリンを0.05%混ぜてマウスに飲ませているのですが、我々は飼料に45mmol/kgで混ぜてそれを飽食させてます。私が自分たちのデータを発表したときにCUNYのポスドクが喰ってかかってきたのが印象的でした。彼らにしてみれば作業仮説を否定されるようなデータを私達が発表しているわけですから、無視するわけにはいかないでしょう。なんでこうもデータが食い違うのか興味があります。

今回、一番面白かったのは、タウリン研究の御大South Alabama大Schaffer先生の講演でした。タウリンとMELASに関する仕事を紹介してました。MELASは”Myopathy, Mitochondrial-Encephalopathy-Lactic Acidosis-Stroke; Mitochondrial Encephalomyopathy, Lactic Acidosis, and Strokelike Episodes”の略ですが、ミトコンドリア遺伝子のtRNALeu(UUR)の変異が原因です。アンチコドンの一文字目がタウリン修飾されないことで、ND5や6の発現が抑制され、電子伝達系Complex1の活性が低下し、ROSが増加するということだそうです。ちなみにミトコンドリアにはタウリントランスポーターが発現しているとされ、その内部はタウリンが70mMの濃度で存在するということでした。細胞内タウリンが枯渇すると細胞内ROSが増加して、MELASを引き起こすというモデルです。タウリンが局所的に枯渇するようなことがあれば、MELASだけではなくさまざまな疾患を引き起こすことも有り得そうです。ここはとても興味深いです。

タウリンの抗うつについての作用を言及している研究者もいましたが、いずれも核心部には迫れずという感じでした。タウリンとNMDA受容体、セロトニン受容体との関係を発表していたグループもありましたが、傍証のみでDefinitiveなデータはありません。実はある研究者の発表を聞いて、これだ!というヒントを得ました。このヒントについてはいずれここで書きたいと思います。マラケシュまで行ってまで参加してよかったと思いました。

カラブランカ~ドバイの飛行機が遅れて、ドバイ乗り継ぎは15分間でした。ドバイ~成田が空いていて3列シートを独占できたので救われました。13日の夕方に成田についたら気温が9度で風雨が強く、吐く息も凍ったのでした。ドバイの空港にくらべると成田空港は暗いです。ドバイが明るすぎるということでしょう。
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by atsutoyoda | 2012-04-18 19:01 | 研究

出張旅費

モロッコに出張した旅費ですが、いろいろ複雑なことになっています。渡航費である航空券や鉄道運賃は良いのですが、学会費がクセモノです。今回の学会費に食費やエクスカーション費が入っているのですね。宿泊費は別だったりします。学部の会計担当の方から食事を何回してその内訳を教えてくれと言われました。郷土料理(今回はモロッコ料理)とフランスやイタリア料理の食事数を報告してくれということなのですね。ホテルは洋食メインでしたが、それをキャンセルして、マラケシュ旧市街の屋台でシシカバブや羊の丸焼きを食べたりしましたから、ややこしいです。エクスカーションではタジンなどのモロッコ料理を食べましたが、ホテルの食事よりも高いことは想像できます。会計がどういう算出法で今回の適正な旅費を算出するのか分かりませんが、面倒な作業をさせているようで恐縮しています。海外の学会が日本の大学の会計事情を考慮しているわけではないので、こういうトラブルはやむをえないでしょうが、無駄な事務作業が増えていることは間違い無いです。

もう少し賢いやり方がないのかと思いますが、飲み食いに公費を使うなどとはとんでもないということなのでしょう。飲み食いのときにディスカッションして研究が進展することもあるわけですが、それを理解してもらうのはこのご時世、難しいでしょうね。
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by atsutoyoda | 2012-04-17 17:50 | 学会

タウリンミーティング、帰国

先週一週間、モロッコのマラケシュで開催されたタウリンミーティングに参加してきました。世界のタウリン研究者が集まる研究会でしたがこじんまりしたものでした。その分、ディープに議論できましたが、このメジャーな分子は呆れるほど機能が未知なのですね。詳細は後日まとめてこのブログに投稿しようと思います。脳内ではグルタミン酸につぐ含量のアミノ酸の一種ですが、グルタミン酸やその受容体と比べて分子機構がほとんどわかっていないように思えます。GABAやGlycine受容体のアゴニストとして、また浸透圧調節、抗酸化の機能はよく研究されていますが、実際にVivoでどうタウリンが機能しているのかはまだまだ不明です。細胞内に数十mMある分子なのですが機能が不明なのです。

私たちはタウリンを長期に摂取させることで海馬のりん酸化シグナルが修飾されることを示しましたが、ここは盲点だったみたいです。割りとディスカッションをしに来る人が多くて、人気のポスターでした。

土曜日の夕方に帰国しましたが、どどーと雑用がきていました。マラケシュはネット事情がいまいちだったのですね。今週はかなりタフな一週間になりそうです。寒さと桜がまだ咲いていることに驚きました。
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by atsutoyoda | 2012-04-16 22:45 | 研究